「ナポレオン狂」阿刀田高
こんばんは!
今回もショートショートのジャンルから、私の好きな作品を紹介させてください。
阿刀田高さんのブラックユーモアなショートショートも大好きです。
さてさて
私が阿刀田高さんの作品を読み始めたのは「~を知っていますか」シリーズでした。
確か、斎藤孝先生の新書を読んでいた時に
「『旧約聖書を知っていますか』が読みやすくて面白い。」
みたいなことが書いていたので書店に買いに行った記憶があります。
ちょうどユダヤ人について考える機会が多かったので
その思考材料として『新約聖書を知っていますか』とあわせて読みました。
さすが阿刀田さん。
ご自身の言葉で旧約聖書をわかりやすく伝えてくれています。
クスクスっと笑えるような一文があったり。。。
とにかく読みやすくて面白い!!
また「~を知ってますか」シリーズもご紹介しますね。
(これじゃあ一向にナポレオンに進まないので←)
そんなこんなである日、面白いショートショートはないかなぁ?と探していた時に
「冷蔵庫より愛をこめて」という作品が面白いと情報を得たので
検索してみると阿刀田高さんの名前が。
ああ!「~を知っていますか」の人か!!
となったわけです。
「冷蔵庫より愛をこめて」を早速購入だ!
と思ったはいいものの
新品はどこにも売っていない。。。
なんでやぁぁぁ!
※絶版だからです。
くそぉ!
ないと分かれば、よりいっそう欲しくなる。
まぁ結局メルカリで購入したんですけどね←
そのときにレビューで「ナポレオン狂」も面白いと書かれていました。
こちらは何の苦労もなく、普通に購入することができたんですけどね←
さてメルカリで買った「冷蔵庫より愛をこめて」が届くより先に
「ナポレオン狂」が届いたので先に読んだのは「ナポレオン狂」でした。
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「狂気と正常とは、ある明確な一線を境にしてキッカリと左右で峻別されるものではあるまい。」
この一文から物語は始まります。
主な登場人物は「私」「南沢金兵衛」「村瀬」。
飯より野球が好きなら野球狂、女色にうつつを抜かすのであれば女狂いと呼ぶように
南沢金兵衛は「ナポレオン狂」であった。
南沢氏は十六歳の時にナポレオン伝を読んで以来、
ナポレオンに関するコレクションを始めたのです。
南沢氏は薬包機に工夫を凝らし特許を取得し経済的に困ることはなかった。
そして南沢氏は収入のほとんどをナポレオンのために消費しつづけたのです。
結果、財団法人の形はとっているものの、
ナポレオン記念館と呼ばれる四階建ての城館を作り
その三つの階はすべてナポレオン関係のコレクションで埋まっている。
彼の人生は一方は実際的な側面があり、もう一方はナポレオンに傾倒していたのである。
遺品があればむろんのこと
ナポレオンの作品
ナポレオンについて書かれたものは全部…
とにかくナポレオンという文字が書いていれば雑誌でも新聞でも切り抜いて保管するという徹底ぶりである。
さてナポレオンコレクターであれば、ある程度フランス語が読める方が望ましい。
「私」と「南沢金兵衛」が知り合ったのは、そのフランス語の個人教授を「私」が務めたからであった。
家庭教師は二年ほど続いた。
そんな中「私」はもう一人のナポレオン狂と出会うことになる。
男は「村瀬」といった。
この村瀬は自分自身がナポレオンの生まれ変わりだと言い張るのだった。
確かに外見は日本人というより欧米人ような顔立ちであり、ナポレオンに似ている。
村瀬は自分がいかにナポレオンの生まれ変わりであるかを「私」に語った。
そして私は村瀬に南沢金兵衛を紹介するのである。。。
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この二人のナポレオン狂が出会ったとき、一体何が起こったと思いますか?
みなさん。
これはブラックユーモアです。
落ちは読める人には読めてしまうと思いますが
ラスト2ページの畳みかけるようなドキドキ感はたまりません!
「ナポレオン狂」は『ナポレオン狂』(講談社文庫)に収録されているので、気になった方は是非読んでみてください。